大判例

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福岡高等裁判所那覇支部 平成12年(う)24号 判決

被告人両名のうち,被告人Aは,主任保母かつ4・5歳児担当であり,被告人Bは,3歳児担当保母であったが,本件園外保育においては,両名とも,右保育の具体的な行程等の内容を企画立案するとともに,引率者としてこれを実施し,特に,本来は被告人Bが担当している3歳児が,年齢的に最も手がかかることなどから,被告人両名が,参加した園児全員について,互いに協力し補い合って,臨機応変に随時役割分担を定めながら,監護し世話をしていたものと認められる。また,園児は,就学以前の幼児であり,その行動能力に限界がある反面,常に保母の指示を守って集団行動に従うとも限らないのであるが,園内保育と対比すると,園外保育においては,屋外での場所的な移動を伴うため,一部の園児が他の園児から離れるなどして保母の目の届かない場所に至り,生命・身体の危険に遭遇する可能性が増すということができるから,これを引率する保母としては,園児全体の動静を常に注意し,点呼や人数の確認等を随時行うことによって,園児全員が保母の目の届く範囲内にいることを確認してその安全を確保することが基本的な責務というべきであって,園内保育よりも保母の負担が大きいうえに,環境的な変化が原因となって園児が体調を崩すなどし,その世話のために保母の負担がさらに増える面のあることも否定できないが,それを理由として,基本的な右責務を免れるものではないというべきである。

本件の概要をみると,合計29名の園児は,Cが運転し被告人両名が同乗していた送迎バス(以下「送迎バス」という。)と,Dが運転する自動車に分乗して石川市民の森公園に到着し,送迎バスは公園の入口付近に駐車し,被告人Aが園児を降車させ,先導して昼食場所として予定していた鳳凰木の木蔭に歩いて連れて行き,被告人Bは送迎バス内に残った園児がいないこと等を確認し,昼食を持って遅れて昼食場所に向かい,Dは,駐車場に自動車を駐車して園児を降ろし,送迎バスが駐車していた場所に向かわせたが,車内を十分に確認しなかったため,被害者を残したままエンジンを停止してドアを閉め,右昼食場所に行って被告人Aらと合流し,被告人Aが園児を右鳳凰木を囲んで円形に座らせた後,被告人両名は園児に昼食を取らせ,昼食を終えて園児を公園の奥の方で遊ばせ,同公園から帰るため送迎バスに戻って乗り込んだ時点で,被害者がいないことに気付いたが,既に同公園に到着してから約1時間が経過しており,Dの自動車内にいた被害者を発見した時には約1時間20分が経過していた,というものである。そして,右一連の移動中,被告人両名は,本件事故が発生した当日,送迎バスとDの自動車に分乗した後は,同公園で降車してから再度送迎バス等に乗車するまでの間,園児に対する点呼や人数の確認などによって園児全員がいることを確認せず,あるいは確認しようともしなかったのであり,かつ,この間に被告人両名において,右点呼や人数の確認をすることが困難であったような状況も認められない。ところで,Dは,園長として本件の園外保育の中途で被告人両名に対して突然に行程の変更を指示するなど,干渉ともみられる行動を取っているが,日常保母としての業務に携わっている者ではなく,本件の園外保育の全行程にわたって同行してもいないのであり,Dの自動車に乗った園児に関しては,Dも被告人両名も,適宜の人数を乗車させたに過ぎず,送迎バスとDの自動車にそれぞれ分乗させた園児の数さえ把握していなかったうえ,送迎バスやDの自動車から昼食場所まで園児を移動させたにもかかわらず,園児全員の降車や送迎バスの駐車場所付近ないし昼食場所への到着の有無についてD及び被告人両名の間で確認し合ってもいないのであるから,園児全員の所在を確認するためには,送迎バス等を降車してから昼食を開始するころまでの間に,園児全体の人数を確認する必要があり,本件の園外保育において園児を引率していた被告人両名は,その責務の主体であったということができるのであって,Dが,自動車に乗車した園児らに限っては被告人両名から監護に関する責務の一部を引き受けたということはできず,被告人両名がDの右園児らに対する監護を信頼するのが相当であったということはできない。したがって,被告人両名は,前記のとおり,互いに協力し補い合って園児全員が降車していることを確認すべき注意義務があったのにこれを怠ったものというべきである。

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